自転車世界一周の旅日記(その31)インドのハイウェイ・モーテル
道を走っていて、立派な看板がある。「MOTEL HIGH-WAY INN」
おお、アメリカのMOTELみたいだ。なんかカッコイイ。テーブルの横に縄ベッドが並んでいる。これは食後の昼寝をするためのベッド。パキスタンから続くシステム。今日はここに泊まってみよう。このときはまだ、部屋が後ろの建物にあると思っていた。
まずは腹ごしらえ。いつもと同じようにカレーを注文。このような店にビールが置いてあることは少ない。あればラッキー。ビールを飲みながら、道を行き交うトラックやロバ車を眺める。日が傾いてきたので、店のオヤジに「今夜、泊まりたい。部屋はどこだ?」と聞いたら、「何を言ってるのだ、ベッドはそこにあるじゃないか」と言う。
え?これは食後の休憩用のベッドじゃないのか?ここでそのまま泊まるのか?これで「MOTEL」ってか。ま、いっか。なかなかイカしてる。しかも、宿泊費は無料。食事をすればそのまま朝まで寝てていいそうだ。おお、スバラシイ。
やがて、大型トラックが1台、2台と並び、僕と同じようにドライバーたちはカレーを食べ、食べ終わるとそのままベッドに横になった。
インドの原野に夕闇が迫る。昼はまだまだクソ暑かったが、夜は涼しくなった。昼の余熱が残る部屋の中より、優しい風が吹く外が気持ちいい。目の前をときどき長距離トラックが通り過ぎる。流れていくテールランプはなかなかロマンチック。確かにここはアジア・ハイウェイのHIGH-WAY INNだった。牛が歩いててもここは間違いなくHIGH-WAYなのだ。