自転車世界一周の旅日記(その17)イタリア半島 北から南へ

ブドウ畑の向こう、遠くにピサの斜塔が見えた。その瞬間の感覚は僕の地元、奈良の法隆寺を遠くから見た雰囲気にそっくりだ。田園地帯の先に集落があり、遠くからでも5重の塔が見えている、あの感じ。のどかな風景だった。

ローマ、そしてナポリを過ぎると再び田舎になった。でも今までとちょっと違う。北部イタリアも田舎は田舎だが、上品で小ぎれいな田舎。例えていうなら軽井沢みたいな。それに対して南部イタリアはなんとなく東南アジアの下町みたいな感じ。バイクのノーヘル率は上がり、人々の服装もヨレヨレのルーズな服を着ている人が増えた気がする。

やがて、午後は町の店が全て休みになる現象が出てきた。シエスタだ。昼食後は暑くて仕事にならないので家に帰って昼寝をするらしい。そして夕方5時頃、再び町は徐々にゆる~く活気を取り戻す。スペインで有名な習慣だが、南部イタリアでも見られるようになった。午後に町に入ると、まるでゴーストタウンのようにひっそりとしている。

夕食の食材を調達するつもりの町でシエスタに引っかかることがある。その場合、公園の木陰などで待機し、夕方に店が再び開くのを待たねばならなかった。日本のように自販機もコンビニもない。インスタント麺など非常食は常に携帯していたが、やっぱり1日の終わりには冷たいビールは飲みたいし、ピザも食べたかった。そんなわけで、イタリア南部から自分も昼寝をする習慣が身に着いた。

イタリアから先の道を考える。漠然とイスタンブールまで行こうとは決めていた。しかし、ユーゴスラビア紛争がまだ落ち着いていなかったので、イタリアから東へ陸送では進みたくない。イタリア半島の南の端、ブーツの形をしたイタリア半島の踵にあたる部分に小さな港町があり、ここからギリシアに行くフェリーが出ていた。これに乗ってみることにした。

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