自転車世界一周の旅~よってぃ絵日記(その5)チリのアタカマの荒野にて

チリのアタカマを南下している。地図の上では砂漠地帯みたいだけど、ほぼ100kmおきくらい(ちょうど自転車で1日に進む距離)に小さな町があり、食事には困らなかった。町といってもドライブイン型の食堂が1軒あるだけということも多かった。そんな荒野の中の1軒屋がけっこう好きだった。

日が暮れる頃、ドライブインに到着。まずはビールを1杯。メニューは「肉とライス」か「魚とライス」の2択。客はたいがい僕一人しかいない。店の家族と一緒に夕暮れに染まる街道を眺めながらビールを飲む。ときどき、大型トラックがバカでかいクラクションを鳴らして走っていく。店のママさんはドライバーに向かって豪快に手を振る。長距離トラックのドライバーは皆、アミーゴなんだそうだ。

「ところで」と僕はきりだす。「この町はホテルがないみたいだけど、ここにテント張らせてもらっていいかな?」もちろん泊まっていきなさい、ついでだから朝ごはんも食べていきなさい、という流れになる。店の裏とか隣とか、ときには店の中にテントを張らせてもらった。店の家族と一緒に夕食をごちそうになることもあった。全員でテーブルをを囲って小さなお祈りがある。「神様、今日も一日無事に過ごせてありがとうございます、アーメン」というような感謝の言葉。普段、我々が何気なく使っている「いただきます」も本来はこのような意味のはず。なんだか心がとろけていく。

観光地も見どころも特にない、ただひたすら街道を南下する日々。観光なんてどうでもよかった。その国の普通の風景の中で、その土地の人と一緒に過ごす時間がなんともいえない贅沢な時間に思えた。

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