自転車世界一周の旅日記(その6)砂漠のアイスクリーム屋

砂漠の中を一本の道が貫いている。ときどき踏切がある。チリ北部の鉱産資源を運ぶ貨物列車の線路がパン・アメリカンハイウェイに並行している。めったに列車は見かけない。でも、車は必ず一時停止する。その荒野の中の踏切に、人がいる。クーラーボックスを肩からかけたオジサンが灼熱の砂漠で愛想を振りまいて立っている。アイスクリーム屋だった。律儀に砂漠の真ん中で一時停止するドライバー相手にアイスを売っている。観察していると、8割くらいのドライバーが買っていた。なかなか良い商売方法だ。一時停止といえば、ペルーからチリに入国して、横断歩道で車が必ず車が止まることも驚いた。メキシコからペルーまではクルマが1番エライ存在だったが、チリからは歩行者優先になった。日本よりも交通マナーがいいかもしれない。

この国ではチリ人の自転車旅行者とよくすれ違った。長い国土を持つチリは北から南まで5,000km以上もある。これを走り切るのは彼らにとって夢の1つでもあるのだろう。皆、自転車にチリの国旗を付けていた。パタパタと風に揺れる国旗は青い空に映え、誇らしげに見えた。そうだ、僕も日本の国旗をつけなければ!アントファガスタの市場で白と赤の布切れを入手し、日本から持参していた裁縫セットで日の丸をパニアバッグに縫い付けた。日本代表選手になったみたいな気がして、なかなか気分よかった。

ところで、国旗が好きな民族というのは、郷土愛が強い人たちなのかもしれない。テレビでチリの天気予報を見ていると、チリ北部、中部、南部と続いたあとに、ショートケーキのような形に切り取られた地形図が出ていた。南極のチリ領土ということらしい。「本日のチリ領南極の天気は晴れ、気温はマイナス20℃」などとやっている。もちろん南極はどこの国にも属していないのだけど、なんか微笑まく思えた。

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