初めての海外ツーリング日記~オーストラリア(最終回)

初めての海外ツーリング日記~オーストラリア(最終回)

ブリスベンを出発して約2週間。オーストラリア大陸のど真ん中、ウルル(エアーズロック)が見えてきました。

写真では何度も見たことがある世界最大級の一枚岩。残念ながら天気は曇っていて、「1日に何色も色を変える」と言われるような輝きは見れなかった。でも、大きさは想像以上。やっぱり、写真で見るのと現場で見るのと全然違う!バイクで近づいて行くと、「まだ大きくなる、、まだ大きくなる!」といった感じでぐんぐん迫って来る。地上からの高さは348m。東京タワーより高い一枚岩なのだった。

夕方、太陽が沈む前に一瞬、雲の隙間から太陽が姿を現した。その瞬間、まるで命に火を灯すように、岩は一気に赤く光った。地球の鼓動、地球は生きている、そんなクサイ言葉が自然に思えた。

バイクを返却するのはアリススプリングスという町だ。地図で見るとエアーズロックからすぐ近くに見えるけど、実は500km近くあった。最後にまた雨が降ってきたので、今回の旅で初めてホテル?というかモーテルに泊まってみた。10ドルくらいのコンテナ部屋だったが、自分には超贅沢な感じがした。

ところで、この旅では日本人によく会った。今から考えられると信じられないが、バイク雑誌でも海外ツーリング特集をよく組まれていて、オーストラリアでバイクを買って、1カ月~3カ月くらい、オーストラリアを1周したり縦断したりして、最後に中古としてバイクを売って帰って来るスタイルが流行っていた。

地平線の先に、まず砂煙が見える。やがてそれが、こっちに向かってくるバイクと気が付く。かなり時間がたって、やっとすれ違う。砂漠の中でバイクどうし、無言ではすれ違わない。立ち止まって言葉を交わし、お互いの走ってきた道の状態、ガソリンスタンドや売店など、情報交換するのが当たり前だった。そうやって声をかけると、半分以上の割合で日本人だった。キャンプ場でも日本人ライダーをよく見かける。ほとんど僕と同じ20代~30代前半の若者だった。携帯電話はもちろん、インターネットもない時代だったけど、当時の若者は元気に海外を走ってたんだなぁ・・・と今さらながらしみじみと思い返しました。

アリススプリング到着!の図。初めての海外ツーリングは、自分にとって刺激がありすぎました。「死ぬまでに一度、大陸横断のようなバイク旅がしたい」と思って飛び出したオーストラリア。もちろん、これで終わったわけではなく、次はモンゴル、そしてアメリカ、とバイト代を貯めては毎年のように海外ツーリングに出かけるようになり、就職なんてまったく考えず、「いつか世界一周」と夢はひたすら膨らんでいった20代の僕でした。(オーストラリア編、完 )