自転車世界一周の旅日記(その15)コート・ダジュール貧乏旅

スーパーで夕食の買い物をしていた。閉店間際だったので、スタッフから声をかけられた。

「ムッシュウ、もう閉店時間ですよ」

ムッシュウ!その言葉の響き。フランス語だ。ああ、フランスに来たのだ。メキシコ以来、スペイン語圏に8カ月もいたので、フランス語の響きは新鮮だった。

「ボンジュール」「メルシー」「シルブプレ」「コンビアン?」「サバ?」

知ってるフランス語の単語はこれくらいだったが、これで十分旅行はできた。発音が難しいと思っていたけど、カタカナ発音でも十分通じた。そして、通じたらやっぱり嬉しい。またひとつ、新しい世界を知ったという、不思議な快感があった。初めての国に入った瞬間は緊張する。現地の人と会話を交わして、お互い笑顔を交わせたとき、旅の喜びをしみじみと感じる。

言葉以外にも様々なものが物が変化した。ユーロに移行する前だったので国境を越えるたびに両替が必要だった。スペインはペセタ、フランスはフラン、イタリアはリラ。国境付近は両替屋やタバコ屋が並び、独特の雰囲気があり楽しかった。

物価は高くなった。コーヒー1杯の値段はスペインの倍になった。気のせいだと思うが、町の作りも上品っぽくなった気がする。その割に路地裏は汚かった。

フランスの地中海沿いはリゾート地のような雰囲気で、安ホテルはなかなか見つからず、ほとんどキャンプ生活。唯一、マルセイユだけホテルに泊まった。1泊1500円の安ホテルだったが、中はインドの安ホテルかと思うほどボロ、部屋にはトイレもシャワーもなかった。町には黒人が多かった。市場は庶民的で、まるでアジアみたい。物価が高く、お上品で小ぎれいな国がフランスだと思っていたけど、意外と人間の生活臭がする部分も多かった。レストランは敷居が高くて一度も入らなかったけど、パンとワインは安かったので、食は満足していた。今回のイラストは、そんなマルセイユのホテルの一コマです。

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