自転車世界一周の旅~よってぃ絵日記(その4)ボリビアとペルーの国境の巻
クスコのホテルに自転車を置いたまま、夜行列車とバスを乗り継いでボリビアのラパスまで10日間ほど旅に出た。途中、標高3800mのチチカカ湖では浮島のウロス島やタキーレ島に行くクルーズ船にも乗り、完全に観光旅行気分。復路でティワナコという遺跡に立ち寄ろうと思い、ローカルバスを乗り継いでペルーのプーノに向かっていた。そろそろティワナコかな?と思ってバスの運転手に聞いたら、とっくに通り過ぎていた。仕方ないのでそのまま国境まで行ってもらうことにする。バスの終点で降り、ここが国境かと聞いたら「いや、国境はここから歩いて10kmほど先がペルーだ」と言う。彼らが指さした方向に向かって2時間ほど歩くと集落が見えてきた。話しかけてきた行商みたいなおばさんにプーノに行くことを伝えたら「ついてきな」と前を先導してくれる。橋を渡れば「ようこそペルーへ」と書かれた看板があった。おお、すでにペルーに入ったのか。待てよ、まだボリビアの出国手続きをしていない。スタンプを押すジェスチャーをして「パサポルテ、パサポルテ(パスポート)」と叫ぶが「そんなもんいらねえ、着いてくればいいんだ」とずんずん進んでいく。
ここは国境線を跨いでひとつの町になっていて、人々は自由に2つの国を行き来していた。地元住民には国境を越えるという概念がないみたいだ。町はボリビアから届いた商品とペルーから届いた商品、チチカカ湖の魚などが路上に積まれ、そこら中が市場みたいで賑わっていた。観光客向けのお土産屋は全然見かけなかった。出入国審査のオフィスは田舎の交番みたいな掘っ立て小屋。往路、ペルーからラパスに向かったときは大型の長距離バスでメジャーな国境を通ったが、そこには立派なイミグレーションオフィスがあり、乗客全員でパスポート・コントロールに並んだ。同じ国でも場所が変われば国境の様子も変わるらしい。
めでたくペルーに再入国。しばらく歩くと「プーノ、プーノ!」と叫んでいる男たちがたくさんいた。プーノ行のバスに乗り、そこから標高4300mの峠を越える高原列車でクスコに戻る。再び自転車の旅が始まる。