自転車世界一周の旅日記(その24)イラン入国の巻

自転車で走ってて声をかけられてお茶をご馳走になるのはトルコと変わらない。集合写真を撮りたがるのも変わらない。ただ、その頻度が格段に増えた。

イランと聞いて何を連想するだろう。厳格なイスラム国家。世界を脅かすテロ国家。でも、実際にイランに行くとそんなイメージは全くない。非常に穏やか。のほほんとしている。その理由の1つが、周辺のイスラム教の国はスンニ派だけどイランはシーア派だからとも言われている。政治的にはイスラム教!と厳しい姿勢だが、シーア派は宗教的にはユルイらしい。1日5回の礼拝も、実際にモスクに行って礼拝するのは金曜の午後だけという人が大半とか、そんな感じ。 不便を感じるのは、お酒が飲めないことくらい。トルコはビールもワインも普通に飲めたが、イランでは完全に禁止になっていた。1日を走り終えて、ご褒美のビールがないのは、ちょっと味気ないが、すぐに慣れた。

当時、イランの都会では特殊なファッションが流行っていた。リーゼントにサングラス、黒の革ジャンにダボダボパンツ。どこかで見たことある風景。そうだ、80年代の日本のヤンキーファッションだった。その昔、東京の上野などにはイラン人が多くいたらしい。彼らが日本に戻り、当時の日本の「ナウい」ファッションをイランに広めたに違いないというのが、日本人旅行者の間での見解だった。ヤンキーのようなカッコをしていても、実際に彼らが厳ついわけではない。姿を真似てるだけ。そんな彼らの手にはしっかり数珠が握られていた。なんだか微笑ましい。信仰深いヤンキーたちだった。(その15年後、ツアーの添乗員としてイランに行く機会があったが、そのときはこのヤンキーファッションは全然見かけなかった)

イランに入るとモスクの形が変わった。ドームの形が玉ねぎっぽくなり、ミナレットは灯台みたいな形になった。紅茶を飲む文化はトルコと同じだが、角砂糖を紅茶に入れるのではなく、飴玉のように口の中で砂糖をコロコロ転がしながら紅茶を飲む、という変わった文化があった。

女性の旅行者はちょっと大変だった。旅行者でもイスラム教の規律に沿った服装を着なければいけない。トルコから入国する前にチャドルと呼ばれるマントのような服を買って彼女たちは旅行していた。でもこれはこれで旅行者自身も楽しんでいるようだった。イランの人も風習や文化を尊重している旅行者に対して、非常に親切にしてくれるらしい。日本人の女の子は「おしん、おしん」と呼ばれていた。NHKドラマ「おしん」がイランで放映され、大人気番組だったそうだ。そんな形で、イランの旅は穏やかに過ぎて行った。

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